#40
#40

出逢えるのは、
自然が織りなすオンリーワンの輝き

第40回
奇跡の輝き「びわ湖真珠」


世界の数ある宝石の中でも、上品でまろやかなツヤを放ち、気品高い装いをかなえてくれる真珠。その価値は多くの人を魅了し続けています。日本人が世界で初めて真珠養殖に成功した1893年以来は、自然と人との共同作業が繰り広げられてきました。実は、日本最大の水がめである琵琶湖でも、美しい真珠が生まれていることをご存知でしょうか?

ひとつとして同じものがない、びわ湖真珠

無核真珠
無核真珠

 琵琶湖の真珠は、さかのぼること400万年前から存在すると言われています。平安時代の万葉集にも“近江の白玉”と詠まれているほどの魅力だったようです。琵琶湖の真珠の多くは無核真珠です。一般的に海で養殖される真珠は、アコヤ貝などの母貝に真円の核を入れ込み、その周りに真珠層を巻かせるため、丸い形になります。一方で無核の真珠は、核を入れないために真珠層のみでできており、色や形、輝きがひとつとして同じものがない真珠に出来上がるのです。

オンリーワンの輝き
オンリーワンの輝き

 手に取れば、貝という生き物によって年月を経て作り出される神秘を思わせます。自然に育まれた美しさといとおしさをも感じられるようなびわ湖真珠を扱うのは、神保真珠商店。滋賀県大津市にあるお店に入ると、そこに並ぶのは個性あふれるびわ湖真珠のアクセサリーたち。きらりと光る一点ものとの出逢いが待ち受けています。店主は三代目の杉山知子さん。当初は設計士の仕事をしながら、軽い気持ちで1966年創業の真珠商を引き継いだそうです。

真珠の魅力と、職人の誇り

びわ湖真珠の養殖
びわ湖真珠の養殖

 父親から事業を譲り受けた杉山さんは、びわ湖真珠の養殖の背景を、はじめて知ることになります。天然真珠に似ていることから、ヨーロッパやアメリカなどのバイヤーから高く評価されていたびわ湖真珠は、海外輸出を主とし、国内での販売はほとんど行われていませんでした。

 最盛期である昭和40年ごろには、年間6トンもの真珠が採取されていましたが、琵琶湖の環境変化にともない、その数はしだいに減少していきます。当時は100軒ちかくあった地元の養殖業者も、後継者問題もあいまって、今では10軒ほどに。杉山さんが職人に話しを聞き、漁場に足を運ぶうちに、厳しい現実が浮かび上がってきました。びわ湖真珠は採取までに6年もの歳月がかかること。すべてが商品になるとは限らないこと。水質の悪化などによって母貝であるイケチョウガイが育たず、絶滅の危機に瀕していること。数少ない職人の腕と努力によって、これらが守り続けられていること。そして見えてきた、彼らの真珠に対する誇り。産業が衰退しつつある中、一途に良い真珠を育てていきたいとの職人の想いに感銘を受けたといいます。「ものすごく真摯に真珠に向き合っていらっしゃって。とても素晴らしいものを作っていらっしゃるということを目にしました」と杉山さん。

提供するのは、オンリーワンの出逢い

オンリーワンの出逢い
オンリーワンの出逢い

 400万年の時を経て、今もこの輝きに出逢えている奇跡。「美しい真珠をたくさんの人に知ってもらいたい」と、杉山さんは店舗を構えることにしました。業界を良く知る周囲は反対でした。知名度は低く、安価な中国産淡水真珠との競争に、今からではどうしようもないと。しかし杉山さんのびわ湖真珠とそれを生み出す職人への想いは強く、父親や周囲の反対をも、味方に変えていったのです。

 お店に並ぶネックレスやイヤリングなどのアクセサリーは、真珠の個性を活かした一点もの。淡い桜色や藤色、形や表情もさまざまです。お客様の年齢層は幅が広く、女性だけでなく男性も訪れるそう。びわ湖真珠はカジュアルな場にもよく合い、幅広く使用できるのも魅力です。

 こだわっているのは、真珠そのものが引き立つようなデザインで、金具はできるだけ最低限にしているものが多いそう。またびわ湖真珠は真珠層が厚いために長く愛用できるため、金具の耐久性にも気を配っているそうです。「アクセサリーやジュエリーという枠を越えても、楽しんでいただける」と話す杉山さんに、びわ湖真珠への愛情が伺えます。

自然が生みだす奇跡を守りたい

自然が生みだす奇跡
自然が生みだす奇跡

 「びわ湖真珠は、琵琶湖のたからものです。採れる環境が長く続くといいな、と思います」

 水質、水温、穏やかな潮の流れといった環境条件がそろわなければ生まれない真珠。そのような奇跡をもたらしてくれる琵琶湖の自然環境を守らなければならないと、思いを強くするばかりです。

 歳月をかけて生まれるびわ湖真珠の、唯一無二の美しさ。養殖職人たちの想いと、お客様の感性が出逢うのは、一期一会の喜びです。

 今日も、琵琶湖にうかぶ真珠棚は美しい幾何学模様を描き、日本人の心に響く輝きを育んでいます。

神保真珠商店

滋賀県大津市中央3丁目4-28 1F

電話:077-523-1254

営業時間:10:00~18:00

定休日:火曜日・祝日 ※イベント出店などでお休みする場合がございます。

ホームページ:http://jinbo-pearls.jp/